つくもがみとは、物が作られて百年を過ぎると妖怪(あやかし)となる、そのあやかしのこと。付喪神と書く。
若いお紅と清次は、深川に古道具屋兼損料屋「出雲屋」を構えて、なんとか糊口をしのいでいた。その貸し出しの品はつくもがみ付きであることが多い。つくもがみはふたりの扱いが気に入って、いつまでもこの店にいたいため、ふたりに協力して、苦情もいわず貸し出しに出る。
店や貸出先で起こる事件を、つくもがみの協力をえて解決していく連作短編集。
お紅と清次は姉と弟といっているが、実際は義理のいとこ。
しゃばけシリーズとは違って、あやかしとふたりの間は適度に距離がある。あやかしは直接話しかけたりはしない。あやかし同士が話しているのをふたりが聞くという関係。
お紅の心のあり方が複雑で、まわりの男は見当違いの対応をしているのが、ほろりと切なく、ふんわりと暖かい。この話はおすすめ。
この前に著者の「ゆめつげ」読んだが、状況設定に納得がいかず、紹介しなかった。