2013年11月25日

生活保護の謎

武田知弘   祥伝社   2012.8

 生活保護には問題が多い。よく聞く不正受給が頭に浮かぶが、それは犯罪であり別な問題。ただし不正受給が簡単にできるのは大問題だ。

 生活保護の支出は多いのか。単位あたりはどうかという問題がある。
 まず対GDP比では日本0.3%、アメリカ3.7%、ドイツ・フランス2%、イギリス4.1%という数字がある。日本は特別に低い。
 日本の生活保護の支出約3兆円で、対象は900万ほどいるはずなのに、実際に受けている人は200万人ほど。そのなかに不正受給が25、355件という。判っていない不正受給も多いと思われる。
 時事ドットコムによれば、
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_yosanzaisei20130129j-10-w430
 受給人数214万、金額3.8兆円とある。

以下は謫仙試算
 ここで上の数字と比べてみる。アメリカ並みの3.7%にすると、
(3.7/0.3)×3.8兆円で、総額は47兆円になる。なんと国家税収より多くなる。
 また、現状でも900万人中200万人のなので、対象者全員が受けるとなると、17兆円になる。

 さて、この本では、
 この制度が、不合理なためいろいろな問題が生じている。最大の問題は普通に働いている人の収入が受給レベルにまで落ちていることだ。
 自由競争は正しいと思うが、そこでは必ず落ちこぼれる人が出る。欧米ではそれらの人の保護の制度を作った上で自由競争にしている。日本で小泉改革によって、保護の制度を制定せずに自由競争に突入させた。その結果の900万である。小泉改革前までは日本も欧米なみであったのだ。
 働いても生活ができない人がいるのに、生活保護者は働かないで楽をしているとか、という非難もあろう。
 働く意欲を奪う、働いても収入が増えないおかしいシステムと、収入があるからと言って働いても生活ができない人を追い返す(法律違反)役所の姿勢が問題なのだ。
 生活保護のもらい方や、金額の概算なども載っている。それを見るとわたしの生活は生活保護受給者より低い。正しくは年に一度くらい大きな旅行に行ったりするので、それを加えれば同じ程度か。
 もうひとつは、この金額の大半が医療費なのだ。これも不正受給が多くを占めていると思われる。これを考えると、本当の金額はかなり少ないということになる。
 恐ろしい数字がある。今までのように働いている人の収入を減らし続け、企業が太り続ければ、受給者は国民の20〜30%になる。現状でも1700万人は確実になるという。ワーキングプアがそのくらいいるのだ。
 先の210万と合わせると、約二千万人である。

 3.8兆円の10倍 総額38兆円ということになる。これだけでも国税収入に匹敵する。

 ここまでの計算は合っているか。また著者の出した統計数字は正しいか。

 それ以外の社会保障費も必要である。まかないきれるものではない。せめて欧米なみに最低賃金を生活できる程度に引き上げて貰いたい。併せて低賃金の人には救済措置をすれば、わずかの補助で、生活保護受給者を減らせるはずだ。
 今のように誤魔化して支給しないのは担当者も心苦しいのではなかろうか。
posted by たくせん(謫仙) at 07:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本は読んでいませんが、はじめの
  対GDP比では日本0.3%
は約3兆円で計算したのでしょう。だから
(3.7/0.3)×3兆円で計算して、37兆円にすべきでしょう。
それにしても大変な金額です。
生活ができないというが、生活とはどのようなことを言うのか。日本の給与レベルがここまで落ちているのに、落ちる前の生活を維持する保護は多すぎないかと思いです。
ここで医療費の問題があります。医療費を除けば、やはり少ないのか。
欧米はそのお金をどうしているのでしょう。税金ですか。
Posted by mino at 2013年11月28日 08:13
minoさん
おっしゃるとおり、37兆円のほうが考え方として正しいですね。
その原資はやはり税金でしょう。
アメリカですが、保護政策があるというのは、前に紹介した「貧困大国アメリカ」とかなり矛盾しているように思えます。もちろん例外は何処にでもありますから、原則的な話と、例外を取りあげて原則を否定するのとは、分けて考えているつもりです。本当に「貧困大国アメリカ」は例外なのか。この本で取りあげている例の方が例外に思えました。
それにしても税からそんな大金を使ってしまって他のことができるのか。疑問に思いました。
それから支給レベルの話、生活保護受給者より低いわたしには十分ではないかと思うのですが、人によっては、「今でも低い。謫仙は生きているだけで生活しているとはいえない」と言うでしょうか。
Posted by 謫仙 at 2013年11月28日 17:49
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