2014年07月24日

ちょちょら

畠中 恵   新潮社   2011.3

 江戸は十一代将軍家斉公のころ、多々良木藩五万五千石は危機におちいった。
 自分をダメ人間と思っている間野新之助は江戸留守居役を拝命する。前の江戸留守居役だった兄の突然の自死。そして兄の許婚千穂とその父入江貞勝(江戸留守居役)の失踪。
 新之助はこの真相を知ろうとするが、その前に江戸留守居役の仕事を覚えねばならない。
 江戸留守居役といえば毎日のように高級料亭に行って、接待と称して贅沢三昧に金を使って、藩の財政を傾けているイメージがある。しかし、それには必然性があった。
 高級料亭に行って、諸藩の江戸留守居役と交流し接待の技を身につけ、幕府の重役にとりいる。つまり江戸にいる外交官のようなものだ。新人につとまるような役ではない。
 他藩の江戸留守居役にその技を教わりながらの日々。
 刃傷事件が起こり、それをいち早く当事者の藩に伝え貸しをつくる。
 ある日、幕府は印旛沼の工事をする予定との情報を得ることができた。この費用は命じられた藩が負担しなければならない。
 今でも借金が多く、新たな借金などできはしない。ここで五千両もの出費が必要になれば、藩がつぶれてしまう。この工事は十五万両もかかりそう。
 この情報が他藩に広まる前に、なんとかしてその賦役を免れたい。
 そのために数百両の出費が必要になる。早く言えばそれなりのところに賄賂をおくることになる。これが上役の家老には理解できないのだ。理解できたとしてもそんな大金を工面できない。
 困り果てた新之助が金以外のさまざまな手を使い偶然もあって、なんとか藩の存続が可能となる。
 新之助のこの奮闘ぶりが中心だが、情報収集の大切さや、恩や義理を作っておいていざというとき役に立てることができる新之助は、なかなかの能力の持ち主と思える。
 終わり方が不自然なので、続編が出ると思われる。
posted by たくせん(謫仙) at 08:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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