2007年05月01日

臣もまた臣の信を愛む

 韓非子(かんぴし)の中にある話、その2である。
 魯の楽正子春は人格者として有名だったらしい。魯は孔子の出た国である。
 斉と魯が戦い斉が勝った。そして斉は讒(ザン)という鼎を要求した。
 魯は偽物を持っていったが見破られた。
「偽物ではないか」
「本物です」
「楽正子春を連れてこい。かれに聞こう」
 魯君が楽正子春に嘘の証言をするように頼んだ。
「どうして本物を持っていかなかったのですか」
と子春が問うと、
「本物はもったいないからだ」
 楽正子春も答えた。
「わたしだって、自分の信用はもったいない」
 最後の一言は
「臣もまた臣の信を愛(おし)む」

 わたしも会社で経理の仕事をしていたころ、これに似た話がある。最初から事情が判っていたら「わたしだって、自分の信用はもったいない」と拒否するだろう。社長があとで知らんぷりするとは思えなかったのだ。
 その時は社長からの仕事の指示だと思っていたが、ことが治まったころ、社長命令でやったのに、当事者として蜥蜴のしっぽ切りにされるところであった。ところがわたしは会計士の前で、反論して免れた。
 あとで「会計士の前で内輪の話をした」として叱責されることになる。
posted by たくせん(謫仙) at 08:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 言の葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
山荘筆記読みました。
ウ〜ン、哀れな元社長御夫婦ですね。。
余りにも利益ばかりを追求してインチキは結局ダメですよね〜。

たくせんさんも正直者、私もそう。
野球も何処かのチームの様にコテコテに即席チームは衰退すると思うけれど、やはり苦しくても土台から築かなければ真の栄光は摑めませんよね(^o^)/
Posted by 千春 at 2007年05月01日 09:41
千春さん。
当時はトーゴーサンなどという言葉があって、小企業はそんな経営者が多くいました。
そちらに力をいれて、肝腎の経営がおろそかになり、成長の機会を逸する例が多くあります。
一番大きいのは、優秀な人から去っていく状況でしょうね。特に開発部門が最初にリストラされ、自ら将来の芽をつみ取ってしまったのが、大きかったんでしょう。
わたしはわたしなりに、得るものがありました。そんな会社だから、わたしは経理の仕事を学ぶことができましたし(^_^)。
Posted by 謫仙 at 2007年05月02日 07:10
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