2014年10月04日

不可触領域

半村 良   文藝春秋   1976.11

 伊島は、婚約者の敬子とともに中原市を訪ねた。敬子の伯父への挨拶を済ませ、敬子とふたりで自動車で東京へ戻る途中、霧に包まれてしまう。そして森の中へ続く脇道に入ってしまった。
 二人の前に豹が現れ、見つけた研究所に入ると、三人の所員の死体がある。どうも自殺らしい。なんとか霧の晴れ間を利用して中原市へ戻ると、伯父をはじめ警察署長などの態度行動が腑に落ちない。いきなり善後策の相談で、自殺理由の解明をしようとする意志がない。理由は何か。
 この研究所にはナマケモノがいた。樹にぶら下がっているのはいいが、「ユーカリの葉のみを食っていて、……」と言っている。近くにユーカリの林まである。コアラと間違えている。当時(38年前)はそんな知識も一般的ではなかったのかな。
 それはともかく、研究所では、ナマケモノがなぜ現在まで生き延びたか、その力を利用できないか、という問題を研究していたのだ。これが核心となって話が展開していく。
 圧倒的な支持率の議員、その理由は……と言うような。
 押しつけがましい右翼と理想論の左翼のような論争もある。
 住民を従順にして都市計画などすべてを順調にやろうとした、そのモデルケースが中原市であった。それは民主主義を否定し、戦前のファッシズムに似る。外から見ていてそれが判った人は、当然反対するが………。

 中編に近い。現代社会(2014年)へ警鐘を鳴らすようなSF小説と思う。
 純文学ファンなら「これは小説ではない、意見である 」というかもしれない。
posted by たくせん(謫仙) at 07:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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