カバーより
日本人の知らない日本語 2
爆笑!日本語「再発見」コミックエッセイ
蛇蔵&海野凪子 メディアファクトリー 2010.2
前に紹介した「日本人の知らない日本語」の続編である。
今回も文字通り爆笑しそうな話が多い。
カバーの折り返しにある外国の日本語教科書。
「それは花ですか?」
「いいえ馬です。」
どんなシチュエーション!? と突っ込む。
最初に目についたのが、畳化(tatamiser)。フランス語で日本化をこう呼ぶそうだ。いくつかの説明があるが、最初の例は、国に戻ってタクシーをよんだとき、扉が開くのを待ってしまう。ほとんどの国では客の手で扉を開けるという。あるいは母国語会話でも「うん」…「うん」とあいづちを打ったとき。などなど。
凪子の教室は普通の日本人では答えられないほどレベルが高い。
学生がアルバイト先で、日本人に尊敬語を訊かれる話がある。とりあえず、「尊敬と受身の形は同じです」と教えてみたら、とアドバイスしたら、次の日には「受身って何ですか」って聞かれた。そこからかーッ。
劇画などから日本語を覚えた生徒たちは、先生も知らない言葉を多く知っている。しかも誤解している。
本気(マジ)とか、敵(トモ)とか、艶女(アデージョ)とか、拳銃(ハジキ)とか。そんなふうに仮名を振った劇画を見て、そう覚えている。これを正すのもたいへん。
わたしはこんな話が好きなのだ。しかし、こう紹介しても、おもしろさはほとんど伝わらないだろうなあ。
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続いて
日本人の知らない日本語 3
祝! 卒業編
蛇蔵&海野凪子 メディアファクトリー 2012.3
今回は落ち着いて、日本語のレベルは高いが、爆笑の話は少ない。まさに完結編。
たとえば生徒が急病になって、救急車で運ばれたとき。係の人が訊いても通じない。凪子の同僚が通訳を頼まれる。ところが通訳と言っても日本語、「どうされましたか」→「どこが痛いですか」
このような日本人でも知っている日本語(日本人の知らない日本語ではない)、でも気がつかないこと。説明を読むと爆笑はしないが感動する。そんな話が多い。
書き始めたいきさつなども書いている。
蛇蔵が凪子と会ってこの人はおもしろいと思った。そして企画し取材させて貰う。協力してこの本ができあがった。
このシリーズ、わたしも教わるところが多かった。
ここに登場する外国人たち、わたしより日本語がうまいかも知れない。
漢語(音読み)より和語(訓読み)が通じやすいなどは、日本人と同じではないか。