2016年03月13日

邪馬台

邪馬台  蓮丈那智フィールドファイルW
北森 鴻   新潮社   2011.10
     15.1.05-1.jpg

 この本は著者の死去によって未完であったが、浅野里沙子が北森鴻の資料を基に追加執筆し完成させた。どこまで追加かは判らないが、著者は北森鴻とさせていただく。

 このシリーズ初の長編なので、いつもと趣が違う。
 明治初期に地図から消えた村があった。阿久仁村である。その村に密かに伝わったといわれる「阿久仁村遺聞」という古文書らしきものが蓮丈那智の手に入る。
 これが蓮丈那智が研究していた邪馬台と関連があるらしい。
 鉄の生産には大量の燃料が必要となる。酒の生産には食べるに余るほどの大量の米が必要になる。この鉄と酒がキーワードになって、蓮丈那智は阿久仁村遺聞の謎を解き、同時に邪馬台国の謎を推察する。
 おなじみ別シリーズの雅蘭堂越名や冬狐堂宇佐見陶子も登場する。三國もしっかり活躍する。
 話は複雑に入り組んでいて、読んでいて戸惑う。
 読み終えて、この結論でこんな大きな事件になり得るのか、つまり謎の風呂敷を広げ過ぎていないか、これで最初から最後まで筋が通っているのか心配になるほど。もっとも有り得ないほどではない。特に文書の順番の謎は、無理矢理謎にしている感じがする。
 個人的には、浅野里沙子が書いたと思われる終盤が読みやすかった。この小説を世に出すため、すなおに集結させたのではないか。
 魏志倭人伝はなぜ書かれたのか、古事記と日本書紀は同時代に書かれたのになぜ内容が異なるのか、などから、邪馬台国に対する新しい見解を展開する。
posted by たくせん(謫仙) at 06:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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