畠中 恵 新潮社 2014.7

いつものようにほのぼのとしていて楽しい話。
若旦那一太郎と幼なじみの栄吉にそれぞれ縁談が持ち込まれる。少しずつだが、成長していく。大人の世界に近づいたのだ。そうなると、妖(あやかし)たちとの共同生活も終わりになるだろう。そのための独立準備編といえる。
上方で活躍した一太郎は儲けた金で、となりに長屋を建てた。手代の仁吉と佐助は独立して、そちらに住むことになる。妖たちの多くも引っ越し。
妖たちはきっと何年たっても変わらないんだろうな。しかし、人間の世界で妖が暮らすのは難しい。
貧乏神の金次がその気になると怖い神様であることに、どきりとさせられる。
栄吉の来年
寛朝の明日
おたえの、とこしえ
仁吉と佐助の千年
妖達の来月
五編の短編集。