2016年08月12日

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?
東川篤哉   文藝春秋   2012.9
     2016.07.27-1.jpg

 あえて言えば題名に偽りあり。
 八王子署の若手刑事小山田聡介は、上司の椿木綾乃警部とともに、殺人事件の捜査に当たる。
 犯人は…、読者は判っている。倒叙推理形式だから。犯人と小山田聡介の知能ゲームとなるのだが、小山田聡介は見かけは冴えなくて、犯人に名前も覚えてもらえないほど。実は鋭いところもあるのだ。
 捜査の難しさは犯人を絞り込むまでで、本来は相当の苦労をするはず。
 ところが、殺人現場にはいつも美少女家政婦マリィが現れる。これが魔法使い。魔法使いが魔法で犯人を教えてくれるのだが、そのままでは逮捕できない。裁判官を納得させる証拠がないからだ。
 そこから犯人と小山田聡介の「刑事コロンボ」を思い出す知能ゲームとなる。
 犯人が自ら証拠を提出してしまうのも「刑事コロンボ」に似ている。
 決して、魔法使いが魔法で証拠を探すなんてことは無い。そこでは魔法はあまり役に立たない。しかし、魔法で容疑者の絞り込みをすることが出来るので、そこまでの地道な捜査が省けるのだ。
 四編の連作中編集。決して魔法使いが完全犯罪をしようなどと考えているわけではない。犯人逮捕の協力をしているのだ。
 東川篤哉が書くとコメディになってしまう。それも楽しめる。

 続きがある。
 魔法使いと刑事たちの夏  2014.7
 縁あって、魔法使いマリィは小山田家の家政婦になる。
 なお、小山田聡介と椿木綾乃警部の怪しい関係が、ちょっと現実離れしている(^_^)。椿木警部は捜査の邪魔ばかりしている。それが、犯人を油断させていることになる。
 特に付け加えることはない。
posted by たくせん(謫仙) at 07:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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