2016年11月06日

代替医療の光と闇

代替医療の光と闇 魔法を信じるかい?

ポール・オフィット    地人書館   2015.9
     2016.11.02-1.jpg
 代替医療とは、「通常医療の代わりに用いられる医療」を指す。今のところ、通常医療に取って代わるような代替医療は存在しないという。
 代替医療でも効果がはっきり証明できれば、つまり科学的根拠があれば、それは通常医療に組み込まれよう。代替医療ではなくなる。
 代替医療は効果があることを証明できないので、医療といっていいのか。
 元気なときに、正しい知識を身に付けて、わが身を守らなければならない。
 この本で書かれた悲劇は、ほとんどがアメリカの話だが、今後は日本でも同じような悲劇が起こりそうなのだ。
 治るはずの通常医療を拒否し、代替医療に頼る。その様子を丁寧に解説している。
 すべてが詐欺師ばかりではない。間違った信念で「病が治る」と思い込んでいる人もいる。その「間違った」が通る歴史的いきさつや、社会状況の詳しい説明がある。
 アメリカのサプリメント業界の暴走ぶりが、なんと法的なお墨付きの下で行われているのだ。
 そのような、インチキ代替医療に騙されてしまった人たちへの、思いやりが読み取れる。
 代替医療だって、プラセボ効果で効くことも多い。だから代替医療とインチキ医療が見分けにくいのだ。

 一例としてビタミン大量投与があげられている。どんな薬でも摂りすぎはよくないはず。
 鍼に対しても否定的だ。鍼は体を熟知していないと効果は薄い。しかし、それなりの効果があるといわれている。科学的に証明できないのが問題か。


 最後に…、副題の「魔法を信じるかい?」は原文に有り、代替医療のことをいっているようだが、代替医療は魔法ではない。騙された人たちも魔法だとは思っていないだろう。魔法は信じていないはず。
 わたしは「魔法」とは祈祷医のようなものと思って読み始めた。たとえば、牧師にお祈りしてもらうとか。偶像に祈るとか。未開地域における祈祷師とか。
 全体的には読みにくい。言葉は易しいが、訳がこなれていないので、止まってしまう。
 「ひとりの男が…」とあると、「あれ、これはひとりでなくても、女でも該当すると思うが…、」と考えてしまうとか。
 延々と寄付者の名前と金額が並べられたりするが、「その名前や金額にどんな意味があるのか」とか。
posted by たくせん(謫仙) at 12:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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