佐藤信弥 中央公論新社 2016.9
理想化された周の実像に迫る学術書(のよう)である。
一般的には取っつきにくいといえよう。周に対して興味のない人には手がでないだろう。
だが、 封神演義 や宮城谷昌光の小説「太公望」などを読んだ人は、本当はどうなんだろうと思うだろう。その答えである。周の歴史、特に西周に焦点を当てている。
わたしは誤解していた。本の題名から、なぜ理想化されたのか、という本だと思っていたのだ。
至聖林(孔林) に書いたが、 商人の子貢が、全国を回って商売をし、行った先々で、うちの先生(孔子)は偉いと宣伝した。それで孔子が偉いということになってしまった。 という考え方をしている。
その孔子が周を理想化したので、後に各王朝が利用した、その理由を研究したのか。と思っていたのだ。
著者は西周時代の青銅器銘文などの研究家である。従来日本にはほとんど紹介されなかった時代である。新しい資料(青銅器銘文など)が次々に見つかり、全体像が構築できた。
孔子は周を理想化したが、現実は、恒常的に戦争を続けていた国家であったのだ。
後世、儒を理想としても現実には無理で、まねをしたら政治が破綻してしまうのも当然である。
西周が滅び(前770)東周として再興する(前722)までけっこう時間がかかっている。
あと、外部勢力に言及していないので、この時代の東アジアの様子が判らないのが残念。
現代では目にすることのない特殊な文字は、初出時だけでなく何度も仮名を振って欲しい。読めなくて意味も通じなくなりやすい。
西周(BC11世紀−BC771年)
東周(BC770年−BC256年)(春秋期+戦国期)
この間に、政治軍事の中心は王から地方の諸侯に移っていった。結局小国に分離独立し、周は消滅して始皇帝の時代になる。
ようやく、本になったので紹介する。新書版である。
本年もよろしくお願いいたします。
暖かなお正月でしたね。
たくせんさんは、どのように過ごされましたか?
冬の静かな下町の切り取り
陽だまりを散策するたくせんさんの独特な雰囲気がイイんですよね♪
新年おめでとうございます。
今回の正月休みは、碁と本で過ごしていました。
上のコメントも、すぐに入れるつもりだったのに、なかなかやる気になれず、ようやく入れました。ようやく冬眠から覚めたような気分です。(^_^)
今年もよろしくお願いします。