2017年01月24日

天と地の守り人

天と地の守り人
上橋菜穂子   新潮社   2011.6
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 これはロタ王国編・カンバル王国編・新ヨゴ皇国編の三部作となっている。シリーズ通算8〜10冊目になる、完結編である。
 どこの国もどの人も、それぞれ立場があり、生きる理由があり、外からは見えない苦悩がある。それらが納得できる物語だ。

 故国新ヨゴ皇国が南の海の向こうのタルシュ帝国に飲み込まれようとしている。それを救うためには、となりのロタ王国と北のカンバル王国と同盟を結び、タルシュ帝国の侵略軍と対抗するしかない。
 新ヨゴ皇国の皇太子チャグムはタルシュ帝国に囚われの身になったが、海に飛び込んで脱出し、ロタ王国に向かう。ロタ王国では南北問題(南の反乱の兆し)を抱えていて、単独では同盟できない。チャグムはさらに北に向かいカンバル王国を説得する。そしてロタ王国と同盟を結び、同盟軍を率いて新ヨゴ皇国に向かう。その間もバルサに助けられている。
 すべての人がその立場ならではの事情を抱えている。チャグムやバルサも例外ではない。
 ロタの内紛もカンバル王の迷いも、それぞれに苦悩の事情があるのだ。新ヨゴ皇国も帝と皇太子チャグムは、国が滅びようとしている時でも対立関係にある。
 タルシュ帝国でさえ、内部では対立していて、統治方法に異論がある。今まではタルシュ帝国に支配されれば、過酷な目にあうと考えられていたが、実情は少数民のタルシュ帝国と、多数民の被支配国の関係は、協力関係にあり、過酷ではない。過酷では反乱が予想されるのだ。国の中枢は被支配地の異民族出身者もいる。
 こうしてあちこちで異論があり、対立しているが、それでも何とか協力の道を探している。
 さらに新ヨゴ皇国の都は、タルシュ帝国にも勝る圧倒的な自然の力によって、滅びようとしていた。ナユグ(異世界)に春が来たのだ。何百年に一度の春だ。
 ふたつの国難をどうやって防ぐのか。16歳のチャグムは成長した。
 バルサは、緒戦の犠牲になったタンダを探しに行く。そして瀕死のタンダを見つけ看病する。
 タンダを世話していた村人に「つれあいです」と宣言する。

 なお、この最終巻の発行のため、荻原規子・佐藤多佳子・上橋菜穂子の3人の対談が巻末にある。平成23年3月22日。なんとあの東日本大地震直後の余震の中での対談だった。小説と重なるではないか。
posted by たくせん(謫仙) at 09:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私もテレビのこのシリーズを見ています。
あの風景や建物などいったいどこでロケしているのかと思いました。
友人が、「雰囲気が韓国に似ている」と言っていました。
調べたら韓国でもロケしています。北海道に行ったり九州に行ったり、あちこちでロケしています。
港町はスタジオ撮影ですね。町や村の野雰囲気が、それらしくできていると思いました。
なによりあのバルサの迫力がたまらないです。
どこの国もそれなりの事情があるのが、妙に納得できます。
ロタ王国編で終わっちゃって、カンバル王国編・新ヨゴ皇国編が11月からなので待ち遠しく思います。
Posted by 美少女 at 2017年03月29日 16:37
美少女さん
 CGも使っているのでしょうが、自然の雰囲気、町や村がそれらしい雰囲気になっていますよね。それと一体となるので、バルサの迫力が出るのだと思います。脇役たちも役に徹しているというか、化粧のせいもあって、それらしく迫力を出していると思います。
 各国の事情は、本を読んだとき複雑だなと思いました。侵略者のタルシュ帝国でさえ、北の大陸に侵略したい事情があり、やり方にも人によって大きな差がある。
 ドラマになってもそれは生きていますね。
 11月からの再スタートは完結まで行くと思います。わたしも期待しています(^_^)。
Posted by 謫仙 at 2017年03月30日 09:26
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