2017年03月27日

三舟、奔る!

三舟、奔る!
仁木秀之   実業の日本社   2016.7
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 幕末の三舟といわれた、山岡鉄舟・勝海舟・高橋泥舟の三人の、若き姿を描く時代小説である。
 山岡鉄舟が、明治21年に、勝海舟に向かって、若き日の生き方を語るという形をとる。まだ出世前だ。
 後に山岡鉄舟は、西郷隆盛と江戸城の無血開城の談判をするが、その前の話である。
 小説とはいえ、どこまで史実か気になるところ。
 父が飛騨高山の郡代になったので、高山で育ち剣や禅などを学んだ。17歳にして父の死後、幼い弟5人を連れて三千両を守りながら江戸に出る。途中で賊に襲われたりするのだが、それがきっかけで若き勝海舟や高橋泥舟と出会う。時は幕末に近く、今までの秩序が壊れそうな時代で、いくつかの事件をえて、何とか生き延びる。
 幕末の活躍の苦労話がないと何となく物足りない。これからこの小説のクライマックスを迎えるぞ、というところで話が終わってしまうのだ。
 だから「三舟、奔る!」というより、「鉄舟の助走」と言いたい。
 著者らしく、暗い面もしっかり見つめているので、話に厚みを持った。
posted by たくせん(謫仙) at 09:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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