2017年06月06日

囲碁AI新時代

囲碁AI新時代
王 銘琬   マイナビ出版   2017.3
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 AI囲碁の典型的な打ち方の紹介とその解説の書だ。
 昨年囲碁ソフト AlphaGo (アルファ碁)がイセドル九段に対し4勝1敗で話題となった。
 さらに昨年末にはMaster(マスター、AlphaGoの改訂版)が登場し、一流棋士に30戦全勝。
 国内でもデープゼンが登場し趙治勲九段と五分(1勝2敗)に渡り合っている。
 この一二年で、一気に10年と予測された時間を縮めてしまった。
 王銘琬九段も囲碁ソフトの開発には協力していたので、この方面に詳しい。
 各ソフトは個性的で、ソフトごとに特徴があるという。その比較。
 ミニマックス法やモンテカルロ法やディープラーニング(深層学習)などの説明もあるる。
 全体的には囲碁界はこのソフトのレベルアップを歓迎している。多くの棋士が積極的に研究しその打ち方を取り入れている。もう人間と比べてどっちが強いという時季を脱している。
 王九段のこの事態に対する現在の見識を示し、解説をしている。そして、この後も見識が変わるかもしれないという予想もしている。この柔軟性があるのだ。

 驚くのはこの日本語の文章力。HPに書いていた頃から文章力には感心していたが、あらためて脱帽する。
 銘琬はメイエンと読む。わたしはメイワンとしか読めなかったが、辞書にはエンという読み方があった。さらにご本人に訊ねたところ、子どものとき、親御さんに「『日本語ではメイエンと読む』と言われましたよ」とおっしゃっていた。

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 いま世界ナンバーワンの柯潔(か けつ、柯洁)九段が、5月23日25日27日にAlphaGoと三局打ち、三連敗した。もはや人では勝てない。一説では二子でも勝てないという。
 これをもってAlphaGoは引退つまり碁をやめるという。DeepMind社とって碁は本来の仕事の一過程であったわけだ。
 普通の会社では、もちろん個人でも、何百億円もの金を碁の対局につぎ込むことはなかなか出来ないので、当分これだけのソフトは出て来ないだろう。ただ準ずる程度なら出来そうな気がする。
 碁神の人に対するいたずらだったのか。
posted by たくせん(謫仙) at 06:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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