2017年11月27日

ここから先は何もない

ここから先は何もない
山田正紀   河出書房   2017.6

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 まず天才ハッカーが登場する。組織に属するのが嫌で逃げ回っている。
 日本が探査機ノリス2で小惑星に達し破片を持ち帰る。しかしアメリカに横取りされてしまう。それを取り返そうと、天才ハッカーを含めたチームができる。一癖も二癖もある者ばかり。
 そして沖縄の米軍施設のあった無人島に行き、小惑星から持ち帰った破片を取り戻すのだが、それはなんと2千年前の大臼歯と4万年前の美しい人骨だった。はたしてホモサピエンスなのか。その謎の解明が中心だ。
 探査機ノリス2の動きが密室ミステリーのようだ。その謎解きと、取り返すための冒険的行動が電子時代らしい。校正ミスらしきところがあちこちにあるが、けっこうおもしろく読んだ。
 わたしが興味を引かれたのは地球生物の進化である。
 38億年前に生命体が誕生した。バクテリアというべき生命体である。
 それは20億年前までほとんど変わらず、20億年前に急に多細胞生物へと進化を始めた。それがついに現人類にまで進化した。ここまでは生命体としての進化である。そして5万年前に現人類は大躍進といわれる変化を遂げた。
 弓矢槍などの武器とか舟などを作り、絵も描く、という文明化である。それはなぜ起こったか。進化の歴史にはこの三つの謎があるという。
 そして今、AIが花開いた。人工知能である。それはASI(超人工知能)となっていた。ここまで来れば、ASIは人の手を借りず進歩し増殖する。しかも情報の集合体なので、クラウド化して物体の介入をほとんど必要としない。必要なら自分で作れる。そう人類は要らなくなったのだ。これが四回目の生命の大進化なのだ。
 人類は要らない、人類にとって「ここから先は何もない」のだ。

 そもそもこの地球生命の歴史は正しいのか疑問に思うし、いくつかの謎が残っている。完成度は低いと思ったが、おもしろいし、わたしの好きな話だ。
 なお、日本がいまだアメリカの属国で、独立できていない悲哀が底に流れている。
posted by たくせん(謫仙) at 09:20| Comment(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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