冥府神(アヌビス)の産声
北森 鴻 2000.5 光文社
脳死臨調のリーダーである帝都大学医学部教授が刺殺された。元医師で現在はルポライターとなった相馬がこの謎を探ると、新宿のホームレス街に、優秀だった元同僚を見いだす。予言をする不思議な少女トウトと一緒にいる。
人間の死とはなにか。何をもって死と断定してよいのか。これは脳死をどうするかという問題でもあった。
臓器移植という問題がある。本人や家族の意思は別にして、移植するには死体が必要である。それも新鮮な死体が必要だ。つまり身体がいたんでしまっては移植できない。
どの時点で死と判定するか。つまり脳死で死と断定するにしても、新鮮な死体を求めるあまり、まだ生きているうちに脳死と判定してしまう可能性はないか。
その判断基準を巡る争いの医療ミステリーである。
不思議な少女トウトの謎が解明しない。そのために読後感が悪く落ち着かない。
2017年12月07日
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