2018年01月16日

怨讐星域

怨讐星域
梶尾真治   早川書房   2015.5
   2017.11.21.jpg

 地球が太陽フレアに飲み込まれてしまいそう。
 それに気づいた某国の大統領は家族や有力者たち三万人で、密かに地球を脱出し、172光年の彼方にある、地球によく似た星まで行こうとする。
 残された人たちの中に天才がいて、ジャンプ(ワープ)する機械を発明し、ジャンプして先回りする。これは危険が伴って、無事に着いた人は数えるほど。
 ここで疑問がいくつか浮かぶ。
 
 172光年を旅行するのに宇宙船は1Gで加速を続け、中間点で逆に1Gの減速をして、常に1Gの圧力がかかるようにしている。これでエネルギーは足りるのか。
 わたしには計算できないが、1年間1G加速し、その後は加速はやめて自転で1Gにして、最後に1年かけて1Gで減速すれば200年ほどで到達できるようだ。
 問題はそのエネルギーだ。宇宙船全てをエネルギーに変えても無理と試算した人がいる。化石燃料ではない。宇宙船内の物質をエネルギーに変換してである。わたしには検証できない。
 船内は人は数代にわたる。その生活物資は船内でリサイクル生産するが、船の燃料は尽きているようだ。
 その巨大な宇宙船が、よく一財団で秘密裏に製造できたもの。
 172光年も彼方に、地球によく似た星がよくも見つかったもの。
 ジャンプ装置が短期間でよく製造されたもの。
 これらの疑問はできたと仮定して、SF世界が展開する。

 ジャンプした人たちが、裏切られた怨みを飲んで、復讐を合い言葉に一から文化文明を築く。しかし、代が進むとその意識は観念的になっていき、心の中で怨みはなくなる。
宇宙船内でも世代交代し、それなりの生活をしている。捨ててきた人たちのことなど、ほとんどの人は気にかけていない、知らないだろう。
 この両者の生活ぶりを交代での連作短編集である。わたしの知っている伝統的なSFである。
posted by たくせん(謫仙) at 12:21| Comment(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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