2007年06月23日

ジュン

石森章太郎   朝日ソノラマ   昭和53年第4版 (1978)

1938−1998 1985年に石ノ森と表記を変えた。
 まだ石ノ森と名を変える前の、記念碑ともいうべき作品である。
少女との出会い……1967年1月から
想い出のジュン……1971年10月まで
毎月 COM に連載された。
これに、ジュンの伝説……1975年1月 を加えたのが本書である。
漫画には珍しいB5判 366頁 の上製本である。
定価 2500円
       jiun.jpg
 わたしはこの本を4冊買った。3冊はプレゼントし、1冊だけ手元にある。
 石森章太郎が高校生のときに書いた「二級天使」をはじめ、石森作品はかなり読んでいる。ところがあるときからまったく読まなくなった。そのため長い間、石ノ森と名を改めたことを知らなかった。
 今その後の作品を読んでみると、おもしろいことはおもしろいが、心を揺さぶられることはない。わたしの心の問題だ。
 わたしにとって石森作品はジュンで終わっている。それからすでに30年以上経つ。
…………………………
この本で様々な試行を行っている。
「氷の星」では最初のページがおわりのページである。
そして絵のないこまわり。科白は一言もなく遡っていき、最後は出会いのシーンで始まる。
大胆なこまわりも特徴だ。

カバーの絵にもなった「少女との出会い」
絶対に消えない悲しみ、それを少女は、「生きているってことのしょうこなのよ」

「時の馬」では昔の売れた富豪の漫画家のおごりを描き、「……、ただ…貧しいのは心だけ」
その漫画家の後をつけてみると家の表札には「ジュン」

「貝がらの音」では浜辺で拾った貝殻の話す物語。それはぜんぶ昔話、ぜんぶアンハッピー。「貝殻の美しいのは夢を追っているからよ」

「音楽を聴く」ではLPレコードの「幻想」を聴いたイメージ
「木枯らしの伝説」では生命の誕生から宇宙旅行まで

他の作品や物語も取り入れ、ある程度は知らないと意味が判らない可能性もあるが、ほとんどは読者のイメージで読む話だ。

「怪人鉄の熊」では、豊かな自然の中の春。恋人たちが愛を語るとき、突然熊の頭をもつ怪人が現れ、幸せを奪う。ラストはある大きなポスターの前を横切るジュン。ポスターには、チェコの国旗をもって歩く女性と、それを踏みつぶすかのようなソ連の戦車。

    ――むかし
    ジュンという
    少年がいた

今では文庫本も出ているので、見たい人は見られるはず。
posted by たくせん(謫仙) at 08:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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