2007年06月25日

始皇帝暗殺

   荒俣宏    原案 陳凱歌
 歴史小説というよりSFと言うべきであろう。
コンリー主演の映画を小説化したものらしい。と言っても映画は見てないのだが。
 ところでいくつかの問題があった。
 刺青の刑なのに、焼き鏝を頬にあてる。何度も出てくるので、明かな間違いである。作者が勘違いしているようだ。
 戦国七雄のひとつに周を入れ斉を除いている。この小説の当時、周はすでに国体を保っていたかどうかあやしい。国として行軍などできる状態ではなかったはず。
 その地理記述の疑問。例えば、「黄河沿いの韓、楚、燕、魏、趙、周が、…」と、いうような記述がある。
 巻頭の地図はまともなので、著者が錯覚したのか、原作がこうだったのか。あるいは「黄河沿いの」は韓だけにかかる言葉なのか。
 念のために言うと楚は黄河沿いではない。
 燕の国も黄河沿いではないと思ったが違っていた。なんと、この時代は鄭州のあたりで二本の川となり、北側はさらに別れ、本流ではないが天津市あたりで易水に合流している。燕が黄河沿いの国というのは、間違いとはいえない。
 更に趙の都である邯鄲を攻める秦軍は一千万をこえ、数百里に展開している。
 一里は約500メートルとしても百キロを超える。秦の総人口でさえ、はたして一千万いただろうか。
 その少し前には趙兵四十万が生き埋めにされ、趙に壮年男子がいなくなってしまったという。そんな疲弊した邯鄲を攻めるのに「秦軍は一千万をこえ、数百里に」とは考えられぬ。
 作者のこの時代への素養を疑う。
posted by たくせん(謫仙) at 07:38| Comment(0) | TrackBack(1) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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