2020年01月30日

不便で素敵な江戸の町

不便で素敵な江戸の町

永井義男   柏書房   2018.5

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 まえに 本当はブラックな江戸時代  を紹介したが、著者はそれでも、素敵な江戸の町として、江戸を紹介している。
 現代人が江戸時代にタイムスリップすると、どういうことになるかという、実験的な小説である。元大学教授と若い編集者が見聞する江戸の暮らしぶりには、戸惑いや感激が多くある。数日の江戸行きにそれなりの準備をして行く。
 少し都合がよすぎると思うが、それを現実的に書くと一冊に収まらなくなりそう。
 石川英輔氏の大江戸神仙伝シリーズはよいところを中心に紹介しているが、こちらは即物的リアリズム、直面する悪いところが目立つ。
 江戸の塵芥・し尿処理にかんする小汚さや臭さの描写などは、石川氏の本にはほとんどない。
 この辺りは著者の年齢が原因かな。石川氏は江戸的な戦前を体験しているのだ。抵抗感が比較すると少ない。
 各所に江戸の絵が出てくるが、小さくてわかりにくい。しかし、絵の説明とその蘊蓄はいい。その蘊蓄がこの本の中心で、登場人物は狂言回しのようなものであるから。
 いままで江戸時代はそれなりに理想化されていたが、現代人がいきなり江戸時代に行ったら、とても生きていけないだろう。
 それでも昔、つまり平安時代などと比べたら、かなりよくなっているはず。そんなことも思わせる。だから準備をして不便なりに工夫すれば、なんとか暮らせる「素敵な江戸の町」なのだ。
 現代が医学が発達し、江戸以前とは比べものにならない。ドラッグストアの薬があれば、それだけで名医になれる。
 自然の中のキャンプのようなものであろう。数日なら楽しいが、一生ではわたしなどとても耐えられない。
posted by たくせん(謫仙) at 15:36| Comment(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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