2020年03月07日

未来職安

未来職安
柞刈湯葉(いすかりゆば)   双葉社   2018.7

 毛色の変わった近未来小説だ。
 間違っても、未来をこんなに楽観できないが、それができたと仮定したSFだ。
 平成より少し先の未来。といっても、主人公の女性はこの社会で生まれて、26年かたっているので、……いつなんだ。

 日本国民の99%が働かない消費者、1%がエリートの生産者という不思議な世界。
つまり、生産などが無人自動化され、ほとんどの人が働かなくてよい社会だ。
 生活基本金が支給され、ギリギリの生活ならできる。1%の人は働いて収入があるが、基本的に労働の必要はない。しかし、豊かな生活ができるので、希望者は生産者になる。
 主人公は、ひとりの人がいるだけの私設職安に就職するが、ほとんど仕事らしい仕事はない。
 紹介する仕事と言えば、一例をあげると「監視カメラに映るだけの仕事」、これがなぜ仕事かと言えば、監視カメラに写ると、プライバシー保護のためにその映像を使うことができなくなるため。などと、仕事といえるかどうか微妙な仕事ばかり。
 未来の仕事コメディと言うべき小説である。世界観や小ネタを楽しむ。小ネタがけっこうリアルなんだ。(^_^)
 鋭い推理や緊張感などを期待してはいけない。

 わたし的には、舞台設定の近未来が引っかかった。世界が全てが順調にいったとしても、そんな世界が近未来にできるはずがない。
 たまたま、同時に「未来の年表」を読んでいた。このまま無策でいった結果の、近未来の日本の悲惨な様子を克明に描いている。ちょうどその時代なので、あまりに能天気な話に思えた。
 遠未来のおとぎ話にすればよかったかな。それにしては社会や生活にリアル感がある。
posted by たくせん(謫仙) at 13:52| Comment(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。