清水義範 祥伝社 1996.7
この題名を見てあのテレビCMを思い出す人もいるだろう。
わたしは題名を見ただけで読みたくなった一冊である。
スポーツは体にいい等々の常識を覆す諸説は必読である。
------------------------------------------
誰が最初にスポーツしたのか
スポーツとはなにかと言うことから、起源を考察する。
スポーツ振興法の「心身の健全な発達に寄与する身体活動」という定義はあまりにもマヌケであり、…。この健全という言葉の嘘っぽさ。スポーツマンに悪い奴はいないという大嘘を信じたいタイプの、困った人間の思いこみから生じている。という。
その他も、永平寺の雑巾がけは定義に合うがスポーツではない。犬にやらせるのは芸であってスポーツではないとか。
結局、自由時間に楽しみのために自主的に行う。多少とも競技的要素を持っている、ということになる。
だからプロはスポーツではなく職業。宗教儀礼や接待などもスポーツではない。厳密に言えば子どもの遊びも違う。
そうしてスポーツの起源を推察する。ギリシャは自分でやった。ローマは他人に競わせてそれを見学した。
現在ではイギリスがギリシャ的、アメリカがローマ的らしい。
スポーツは特権階級の人間が、豊かさ故のヒマをつぶすために、するものである。だから豊かなふりをしたくて、カップラーメンを食ってお金を貯めてマリンスポーツをする。
選手村のクムラ・クムラキンピル
何とかしてそういう国があることを世界にアピールしたい政府の思惑で、国で一番の人をオリンピックに出す。しかし、国では敵なしでも国際的には出場することが恥ずかしくなるレベル。
小さな国のたった一人の選手としてオリンピックに出場する選手の悲哀。
逆あがりシンドローム
幼稚園で逆上がりかできなく、それが一生のコンプレックスとなる、運動が苦手な人の苦しみを。
どすこいコメンテーター
力士の時から「そうですねえ」としてか言えない解説者が、奥さんの助言で「そうですよ」と言ってコメントできるようになり、ついに人気コメンテーターとなる。
そうですね。と言ってしまうと言葉が完結して、それ以降はよけいな気がするという。判るような気がする(^_^)。
空きカンと青空
これはパス。
弱虫泣きべそスポーツマン
高校野球を始め、国際試合の柔道などスポーツマンはやたらに泣く。それは武士にも通じる。「一所懸命」だったのだ。そして昔の会社員も似ていた。しかし現代っ子はあっけらかんとして泣かない。それは会社が永続しないことを知ってしまったから。
武士の時代は終わろうとしている。
断然、野球です
野球にはドラマがあるという作家の話です。言われてみると他のスポーツはドラマがない。相撲でここでどうしようかなどと考えているヒマはない。
ピンポン接待術
ゴルフが禁止され、代わりにピンポンで接待をしたらどうなるかという(^_^)。
須賀三四郎
夏目漱石の「三四郎」と富田常雄の「姿三四郎」のモデルだそうだ。
幾つかの学校を経営する嘉納治五郎の教育者としての姿がいい。
体に悪いことしてますか
テレビ人気番組「ビバ・スポーツ天国」にゲストとして島岡一昭は出演依頼を受けた。
スポーツ医学の専門家である。
「スポーツすると体にいいとか…そういう話をテキトーにやってくれればいいんです…」
という話に一抹の不安があるものの、初めてのテレビ出演で緊張していた。
6時からの生番組に、3時に局に来てくれと言われた。打ち合わせをするものと思って行くと、そのまま待たされてしまった。
そして台本を見て唖然とする。
……
河北 そうです。島岡先生、どうぞよろしく。(このあと、スポーツと健康について、いろいろきく)
島岡 いろいろ答える
河北 ためになりますねえ。
…
これでテレビ作りに疑問を持つのだ。
河北とは元バスケットボール選手のキャスターである。
番組直前に河北に会わせられたが、ゲストが島岡であることを知らなかった。そして挨拶もしない。これで島岡は堪忍袋の緒が切れる。
そして、番組では島岡一昭(かずあき)を「いっしょう」と紹介する。
これで島岡の自制心は切れてしまった。
河北「……まあスポーツは根本的に人間の健康にいいんですよね」
…
ひとを見下ろすなバカ野郎
島岡「そんなことは、言えません」
河北「……スポーツマンは健康ですから」
島岡「それは、まったく間違っていますね。スポーツマンが健康なんて、そんな事実はどこにもないですよ。たとえばプロ野球を見てください。ちょっと思い出すだけで、有名な選手がほとんど故障を抱えているでしょう。肩を痛めているとか、肘をこわしているとか、……つまり、スポーツは体にとってよくないのです」
以下、相撲・ボクシング・スキー・重量挙げ・ゴルフ・テニス・バスケットと非健康的な理由を上げていく。
そして最後に曰く
「バスケットボールをやるとバカになっちゃうんですよ」
2007年07月22日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック