2007年08月03日

壬生義士伝

    浅田次郎    文春文庫  02.9 
 勝てば官軍負ければ賊軍
 この言葉を地で行く、新選組隊士と会津藩士。
 会津藩は、朝廷守護のため京に赴き、長州と戦うが、薩長が天皇を担ぐや、一転して朝敵と扱われる。
 新選組もその一翼として、幕府に利用されたが、結局、薩長の標的となり、滅んでいく。大政奉還した将軍慶喜が、敵前逃亡して、薩長の天下が決定的となる。
 主人公吉村貫一郎は南部藩の足軽であった。学問では助教授剣は指南役となるも、禄高は二駄二人扶持のままであった。
一駄は米二俵、一人扶持は一日五合、二駄二人扶持は合計十四俵になる。
 付け加えると、一俵は60キロであり、合計840キロ。
 1キロ400円なら、年俸336,000円
 この禄高では妻と三人の子を養えず、加えて、天候不順による、南部藩の飢饉が追い打ちをかける。生活のため、ついに脱藩して新選組に加わり、給金は全て妻子のもとへ送った。
 守銭奴と蔑まれながら義を貫く。

 その長男嘉一郎は父の死後、函館の土方歳三のもとへ赴き、函館戦争で戦死。
 長女みつは医師の妻となり満州へ。
 次男は父の名を継ぎ農学者となって、天候不順に強い米を品種改良によって作り出す。

 極貧の中にありながら、矜持を失わない親子五人と、南部藩の様子、さらに新選組の意味を問う、感動の物語である。

   …………………………
 「壬生義士伝」を電車に乗っているとき読んでいて、思わずポロポロ涙を流してしまい、周りの人をびっくりさせてしまいました。
風流冷飯伝は薄給の武士の話でしたが、これはさらに薄給の足軽の話。飢饉の地獄絵など、読むのが辛いほど。
 わたしは先年、桜のころ盛岡に旅行して北上川や不来方の城を見てきました。その景色を彷彿させます。
 それから、上巻カバーの武士の刀の差し方がおかしい。小刀が外側に来ています。
posted by たくせん(謫仙) at 07:55| Comment(6) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ダメです!!
『壬生義士伝』は人前で読んでは・・・。
私もしばらくはスーパーのおなべ売り場で「南部(鉄)」の文字を見ただけでもうるうるっとなりそうでした(笑)
映画も見ましたが、かなり年配のお父さんたちがちらほら・・・。
なのに、そこかしこで洟をすする音が聞こえてきました。もちろん私もずるずる・・・。
最近あまり新刊(文庫)が出ないのでもっぱら池波正太郎を再読していますが、たくせんさんの文を読んでまた『壬生義士伝』読みたくなりました。
Posted by ちーねー at 2007年08月03日 15:34
素晴らしい人材を、身分故に薄給で雇えると錯覚する藩の重役たち。
藩の財力ではそれ以上はできない。
幕藩体制の崩壊は必至でした。
脱藩しても妻子を飢えさせまいとする男。女子供を犠牲にして自分だけ助かろうとする人も多い中、近代的な思想を感じますね。
電車の中で読んだのは函館戦争のあたりでした。
映画は見ていませんが、人生の大変さを知る人には共感できたのでしょう。
Posted by 謫仙 at 2007年08月04日 06:32
ドラマ、映画と視覚的に鑑賞し、この年になって男泣き・・
現代の日本男児(父親)に是非とも鑑賞してい頂きた内容であった。
優しさだけではなく厳しさや切なさが大変上手に表現されていました。
小説はまだ拝見しておりませんが、是非とも拝見したいと思います。
日本には世界に対し、誇れる武士道という思想があります。
新渡戸稲造著者。
現在の日本にはその武士道の思想が薄く男の威厳や誇りが失われつつある。
その結果、敗戦復興後、日本男児は他国から蔑まれる存在へと・・
戦後の復興をされた、諸先輩方は日本男子の心意気を多く持たれていた。
その功のおかげで現時の日本があるのだが、他国からは金だけで解決する誇りを持たぬ民族と思われている。
外交や政治のせいにする国民は多いが、それら政治家を選択しているは国民である我々・・今一度政治に真剣に取り組んで欲しいと思う。
Posted by maeshiro at 2007年11月12日 00:04
わたしは映画は見ていないんですが、小説は武士でありながら、武士道を捨てて、人間道に走った男の話です。いくら能力があっても身分が下であるが故に生活できない社会制度を批判していると言えます。

その悪い点が凝縮したの戦前の軍国時代。武士道を知っている軍人がいない時代でした。しかも庶民の人権は無視されて。
その体勢が壊れることによって、ようやく有能な人が頭角を現し、現代の復興がなったと思います。
たしかに、国民も真剣に政治を考えないといけませんね。国とは庶民を守るために存在するもの。政治家にその自覚有りや無きや。

Posted by 謫仙 at 2007年11月12日 08:10
昨日はじめてDVDで見ました。
映画で今まで泣いたこと無い40歳でしたが、感動しました。
こういう生き方が古来の日本人ではないかと。
今の日本で失われていることが凝縮されているのではないかと、自分の生き方の中にルールを作り絶対に曲げない鋼以上の強さ、政治家は是非鑑賞するなり本を読んで見習って欲しいものだ。えっ、もう読んでいる・・
Posted by どら at 2008年02月25日 23:40
古来の日本人ということになるとなんともいえませんが、今の日本で失われていることが凝縮されているとは思います。
ほとんどのものはない方がいい。しかし、それは経済力から考えて当時は仕方なかったかな。
なくなってほしくないもの。生き方の真剣さでしょうか。
自分のルール、それを作るのには熟考が必要ですね。
初めは武士道だったことでしょう。妻子を養えないとなると、武士道を捨てて、人間道を行く。逆かも知れませんね。本来人間道をもっていて、武士道を強制されても変えなかった。
ただ、武士道とは本当にあったのか、これに疑問を持っています。こうあるべきだという理想像で、現実には存在しなかったのではないか。もちろん例外はいますよ。一般ではなかったと思います。
多くの政治家も志はあるのでしょう。そんな人は能力が少ない。権力のあるひとは節操がない。節操がないから権力を手に入れたとも言えます。
今は大衆が監視できる。義士伝の時代はそれがなかったので、この本のような、奇形ともいえる政体がまかり通ったのでしょうか。
Posted by 謫仙 at 2008年02月26日 07:16
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