2007年08月12日

二重螺旋のミレニアム

  清水義範   マガジンハウス  2000.1
 二重螺旋といえば、遺伝子を思う。
 この話は遺伝子を根本的にいじった男のはなしである。
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 まずドクター・ハロンにJSが「相談にのってもらいたいことがありまして」
その内容は、「人類は絶滅するのかどうか。するとすればそれはこの先、いつのことか。絶滅の理由は何で、どのような絶滅になるのか」
 とてつもなく大きなテーマである。今までの栄えた生命の絶滅の例を幾つも引き合いに出し、核戦争や新たな病原菌など考えられる理由を列挙しながらも、確実なのは環境破壊ではないかという。人類は自ら環境を破壊して絶滅する。
 なんとこれが今までの生物絶滅のポピュラーな絶滅のしかたらしい。
 その原因は「繁栄」「人口の増加」。人口が四百億になれば滅びる。それが人口の激減を意味するが、わずかの人口になっても、もはや生き延びることはできない。
 今は初老の時期で、そろそろ絶滅の心構えをせねばならない時期になっている。

 ある自殺の捜査から物語が進展する。
 捜査しているとある研究所に突き当たった。そこに政府高官から捜査の中止命令が来る。
 その研究所は遺伝子の研究所であった。そしてある人物の寿命を延ばすための専門の研究所でもあった。
 たとえば1メートルもある鮎。鮎は生殖行動をすることによって一生を終える。生殖行動ができないようにすれば一年では死なない。魚は生きている時は常に大きくなる。七年も生きた鮎は1メートルを超える。
 生殖活動をしないように遺伝子操作をすれば、人も長生きできるのではないか。あるいはクローン人間を作って、臓器移植用に育てる(そういえばアイランドという映画がそんな話であった)。
 そうして老人が若々しい姿でしかも性なしで登場する。
 それが大金持ちだけしかできない、素晴らしい研究成果のようだが、無性になった生物は無性生殖を始めることになる。
 このようにして人類は滅びの道を歩み始めるが、そこには新しい生命が誕生していた。それが最初に書いたこと(生物の絶滅)を考える生命、スパコン内のプログラムであった。

 清水義範は楽しい小説ばかりでなく、こんなある意味で恐ろしい話も書くのであった。
posted by たくせん(謫仙) at 07:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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