2007年09月24日

孔雀狂想曲

   北森鴻   集英社  01.10
 骨董店雅蘭堂の越名のもとに集まる人と骨董にまつわる人情話といえよう。
 旗師冬狐堂シリーズの姉妹編である。
 越名は旗師冬狐堂の陶子も信頼する人物である。
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 下北沢の小さな骨董店とはいえ、そこには偽物を持ち込む者がいる。仲には偽物と本物の区別のつかないものもある。たとえば、最近作られた根付けなど、偽物と言っていいのか。
 ある優れた根付けがあった。越名はそれを預かったが、アルバイトの安積が割ってしまう。
 それを300万円の値打ちと見積もった越名は三倍の900万円の損害賠償をしようとする。

「どうかこれを受け取ってください」
 …
「そうでなければ、先の話をすることができません」
 …
 そうして、この根付けは江戸の品ではなく、現代の作家が作ったものであること。その理由として、根付けには次の制約があると説く。
「まず、帯の柄の邪魔をしないためには、大きさは最低限でなければなりません。そして紐を通すための穴、もしくはそれに類する機能を持っていなければなりません。そしてここが重要なのですが……帯の近くに常にあるということは、根付けは常に動いているということでもあるのです。軽い衝撃が常にあります。また帯の生地を傷めることも避けねばなりません。そのためには」
 島津
(陰で聴いていた根付けの作者)は、ようやく越名の言葉を理解しょうとしていた。
 …
「根付けの突起は、なるべく少なく作らなければならないのです。間違っても」
と、問題の根付けを取り出し、
「細工は見事ですが、琵琶のこんな所を立体構造にしてはいけないのです。… つまりこれは日頃着物を着ることのない人物が、拵えた物であるということです」

 こうして根付け作者の反省を促し、それを買った客も(実は知っていて、作者の成長を見守っていた)傷つけずにことを収める。
 こんな話が8編。
posted by たくせん(謫仙) at 08:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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