2007年12月04日

書剣恩仇録

   金庸 訳 岡崎由美   徳間書店   1996.10
 金庸の世界で、只一人、わたしが共感できない主人公が、この陳家洛である。
 むしろヒロインの姉で、回族を率いるホチントン(霍青桐)の方がヒーローとしてふさわしい。
 常に冷静で、男に媚びない態度は、リーダーとして陳家洛より優れている。
       sabakunohanakouhi.jpg
 ヒロインのカスリー(香香公主)は、せりふをそのまま訳すと、肉体年齢18歳、精神年齢8歳になってしまうそうだ。
 名前から判るように、乾隆帝を拒否した香妃の伝説を踏まえている。
 また乾隆帝は実は漢民族であったという、民間伝説がある。これがこの物語の鍵になる。
 陳家洛は江湖の人ではなく、官界に属すような人だった。つまり文人である。
 教養人であるが、人格的には欠点が多い。惚れきった恋人を敵に差し出すような人だ。中国の文人には普通の考え方らしい。しかも事は成就しない。
 このような人物を主人公にしたのは初めてで、評判になったという。
 なお、これが金庸の武侠小説の処女作である。
   参考  書剣恩仇録のあらすじ
posted by たくせん(謫仙) at 08:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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