2008年01月07日

怪笑小説

    東野圭吾  集英社   1995.10
 9編の短編小説集なのだが、実は小説はあまり面白とは思えない。好みの別れるところ。

        kaishoushosetu.jpg
 鬱積電車・おっかけバアさん・一徹おやじ・逆転同窓会 など。
 わたしは頭から6編を読んだが、残りの3編は文字通り眺めただけ。1ページあたり3秒くらいか。
 それなのに紹介するのは、各編にあとがきが付いていて、それが実に面白いからだ。

「おっかけバアさん」は、貧しくぎりぎりの生活をしている老婆が、スターのおっかけを初め、ファンクラブに入り生活費をすべて注ぎ込んで破滅するまで。
 その基は、著者の父親の話から。父親は貴金属の加工で生活をしていた。あるお客が、金を何度も加工依頼する。それはおっかけに着けていくアクセサリーを毎回変えるため。だが新たに買うお金はなく、ひとつのアクセサリーを作り直しては使っていたという。

「一徹おやじ」は、あの巨人の星のパロティ。
 星一徹の魔送球のおかしさを解説。三塁手の星一徹が一塁に投げては間に合わないため、打者走者にぶつけるように投げて足を止めさせ、魔送球はカーブして一塁に届きアウトにする。走者よりも遅い球で、そのように大きくカーブする、まさに魔送球。走者よりも遅い球が三塁から打者走者に届くはずがなく……。

 こんなあとがきが各小説毎に付いているのだ。必読である。小説はおまけ。
posted by たくせん(謫仙) at 07:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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