2008年02月28日

日本文学全集

   清水義範   実業の日本社  1992.10
 これは文学全集ではなく、「文学全集」という小説集だ。
 古事記・源氏物語・太平記・奥の細道・我が輩は猫である、などなどのパロティといえよう。読んでいて飽きさせない。
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 神が次から次へと島を生み出す様子をあきれながら読む、古事記。
 生徒が聞いてもいないのに、夢中で源氏物語を講義する、源氏物語。
 家や家族を失い、カプセルホテルで生活して哲学を語る男の、方丈記。
 バブル崩壊前の日本の経済感覚麻痺状態の様子を語る、平家物語。

 徒然草ではこんな文が、
 日本の男の書くエッセイは、世の中を叱る文ばかり。首相がバカだ。政府がバカだ。大学生はバカだ。こうすべき、ああすべき。とあらゆる方面を叱りとばしている。
 この原因は、エッセイを書こうとするとき、徒然草を思い出すからではないか。
 女性は「私はセンスがいいのよ」という自慢話。これは枕草子を見本にしているからではないか。

 わたし(謫仙)の文も思い当たることばかりm(__)m。少しは気を付けないといけない。

 亜米隣の武州が淫楽を攻撃する芝居調の女殺油地獄。十五年後の今でも固有名詞もそのままで通用しそう。
 外国人の二人が、昔の日本を求めて東海道を旅する、東海道中膝栗毛。
 美容院の様子を論ずる、浮世床。
 この本を書くに至った訳を書く、我が輩は猫である。

 こんな清水義範らしい短編小説集である。
posted by たくせん(謫仙) at 07:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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