爛柯(らんか)は碁の別名である。爛柯以外にも手談とか烏鷺とか橘中の楽とかある。「手談を交わす」「烏鷺を戦わす」という言い方がある。しかし爛柯という語を使った例は見たことがない。動詞はなんだろう。
浙江省の西部、福建省・江西省・安徽省の境目近くに衢州(クシュウ)市がある。「碧血剣」を読んだことのある方なら、夏青青の故郷といえば判るかな。その市街地より西南13キロに石室山と呼ばれる山がある。爛柯山とも呼ばれている。
その昔、王質という樵がいた。ある日、王質は近くの石室山の山中で二人の童子が碁を打っているのに出会った。その碁に見とれているうちに、持っていた斧の柄(柯)が腐(爛)ってしまった。それだけの時間がたったのだ。浦島太郎のような話である。この伝説から爛柯が碁の別名となる。
山の名はどうだろう。この伝説ができてから爛柯山と呼ばれるようになったか。爛柯山という別名からこの伝説が生まれたのか。
ここで童子というのは仙人のことであろう。子どもの意味ではないはず。たとえば酒呑童子のような使い方である。
別な説もあるが、大同小異。晋の時代、新安県の話など。
江戸時代の家元林家の十一世、林元美(はやしげんび)に「爛柯堂棋話」という著書があった。爛柯堂は林元美の号である。原本はすでになくなっているが、内容は伝わっている。多くの囲碁に関する逸話が載っている。
偽作といわれているが、日蓮上人と吉祥丸の碁もある。
林元美は囲碁史上、一二を争う文人であった。
日本棋院発行の「囲碁クラブ」は初めは「爛柯」であったという。難しいので改名した。
2008年03月13日
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