2008年05月30日

トンカチからの伝言

   椎名誠   文藝春秋  07.12
 椎名誠には「赤マント」シリーズという本がある。その最新版であろう。
 わたしは図書館にあるものはすべて読んでいる。面白いのだ。
 椎名誠は小説家であろうか。だがわたしは小説は二冊か三冊しか読んでいない。賞を取ったという小説も三十ページほど読んで投げ出してしまった。わたしにとって椎名誠はこの「赤マント」だ。岳物語という小説がある。しかし、わたしは赤マントシリーズの一部と思っていたほど。
 ただ断っておくが、言っていることに賛同しているわけではない。その中からわたしに役に立つことをも多々あるし、軽く読めて面白いので読んでいる。椎名誠が読んだという本を三冊、図書館で取り寄せを頼んだ。

        tonkachi.jpg
 以下の話はこの本に載っていたというのではないが、考え方は一貫している。
 椎名誠は常に旅行している。今週はアラスカに、翌週はパタゴニアに、日本に帰ってきても今日は北海道の別荘、次の日は四国に行ったり、その次の日は東京に戻り、そして数日後はシベリヤへ行ったり。
 わたしが上海まで飛んだとき、それだけでもドラム缶一本程度のガソリンを使っている。してみると、椎名誠は毎年ドラム缶数百本分使っていよう。エネルギーを使い放題使っている人に省エネを説かれてもなあ。
 夢の島でキャンプして、三角ベース野球をやっていたら、近くの館長に野球を止められたと怒っている。「公園はみんなが気軽に遊ぶためにある。それなのに日本の公園は禁止事項が多すぎる。誰もいない公園で三角ベース野球をやってもいいではないか」
 しかしなから、禁止しているから、ほとんど人がいないのであって、そこで野球を許したら、場所の取り合いになり、たまに来るかも知れない散歩者も近づけなくなる。おそらく椎名誠たちも、野球どころかキャンプもできなくなるであろう。禁止しているからキャンプができ、散歩者も来ることができるのではないか。
 更に言えば、館長なる人が止めに来るまでやっていたと言うのが、そもそもの間違い。(散歩者かも知れない人が)近づいてきたら黙ってやめる人だけが、上の発言ができる。
 羽田の駐車料が高いと怒っているが、羽田から飛行機に乗るのに自動車で行くほうが間違っている。あそこにみんなが車を置いて遠くに行ったら、駐車スペースはどのくらい必要になるか。そんなスペースがあるなら新しい滑走路を造るべき。羽田にはモノレールや京浜急行やバスなど大量輸送機関があるのだ。
 日本の新聞は外国の重大ニュースに鈍感で、国内ニュース中心だ。そのため日本人は世界が見えなくなっているという。だが普通の新聞とはそういうものではないか。影響の大きいもの身近なものを取りあげる。世界中を飛び回っている椎名誠にとっては、日本国内のニュースはローカルニュースなのだろう。逆に外国の新聞が世界のニュースをどれだけ取りあげているか。中国の新聞は国内のニュースさえ……。
 お役人の杓子定規無能ぶりを嘆いているが、個人の判断で裁定する大岡裁きは絶対にやってはならないのだ。わたしは賄賂を出せばなんでも許すようなお役人のほうが困る。
 わたしはこんなふうに、ほとんどの話に「それはちょっと違うんじゃないか」と考えながら、このシリーズを読んでいるのであるが、同時に椎名誠の行動力や観察力を驚嘆して読んでいるのだ。またその文章力を畏敬する。くだらない話でも椎名誠が書くと、とたんに魅力的な話になる。
 そうではなく、どこにでも面白い話が転がっているのに、わたしが気がついていないだけ、なのかも知れない。もう十何年か続いている。よくも話のネタが尽きないものだ。感服つかまつる。
posted by たくせん(謫仙) at 17:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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