2008年06月04日

百億の星と千億の生命

  カール・セーガン   新潮社   04.6
 なによりこの題名に驚いた。「百億の昼と千億の夜」は日本SFの金字塔だからだ。しかし関係なかった。原題は「ビリオンズ&ビリオンズ」らしい。
 翻訳の発行は04年だが、元は1997年である。すでに十年以上になる。それでいながら内容は古いとはいえない。世界の食糧問題や人口問題をはじめ、宇宙の謎や温暖化問題など、今でも解決していない問題ばかり。ますますこの本の主張していることが重要になってきている。
 先日のテレビ放送で、北極の氷が融けて、シロクマが絶滅危惧種になったと言っていた。餌のアザラシが少なくなり、また捕食できなくなったのだ。オゾンホール問題にしても、解決したとはいえない。その最大の問題はアメリカだ。
        100okuno.jpg
 科学者が、あるいは先達が、ある問題を指摘する。その解決には今から手をつけなければならない。先送りすれば更に巨額の処理費がかかる。十年たち、温暖化などもはやいくら予算をつぎ込んでも解決できそうもないものもある。
 それでも為政者は、そうではないという説にすがり、少数の利益のために(例えば軍需産業)奉仕する。
 もちろん確定していない科学で、物事を断定してはいけない(たとえば血液型性格などだ)。いろいろな問題が確定していないことを根拠にして先に送られていく。日本の為政者の得意とするところだ。
 わたしが「知らないということ」に書いたと同じことが、更に巨大になって、いろいろな問題になっている。それを10年以上前に予想した。それらがすべて正しいようだ。
 スポーツ観戦の興奮の意味。人間の目はなぜ今の波長の光(可視光線)を見るのか。あるいは宇宙の謎、ビッグバン以前や膨張の果て。空気の層は薄く、地球の大きさに比べると無いに等しいほど、そのわずかの空気の炭酸ガス問題。
 クロイソスとカッサンドラの話は、それらの話の象徴である。
 アポロンが「もしクロイソスがペルシャに戦いを挑めば強大な帝国を滅ぼすだろう」と予言し、クロイソスは喜んでペルシャを攻めるが自らの帝国が滅んでしまう。
 カッサンドラの予言はすべて正しいが、アポロンによって、だれも信じないようにされてしまった。

 わたしが拳銃で目の前にいる人を殺すと、殺人犯になる。もし拳銃の弾が遅く(それでも殺傷力があるとして)かなり時間がたってから、例えば三十年後に相手に当たり死んだら殺人罪になるだろうか。いろいろな問題(環境問題など)はそのようなことではないかと問う。いま死ぬ人がいないからと、多くの拳銃を発射しているが、何十年かすると人は大勢死に至るはず。

 たとえば石油。ブッシュは数兆ドルの費用を掛けて湾岸戦争をしたが、それは石油を守るため。その費用を石油の原価に算入すれば、石油は高騰する。(注:これは十年後の今も固有名詞までそのままに通用する)

 このような今でも切実な話を十年も前に書いたアメリカ人がいたのだ。
 問題国はアメリカ、ついで中国。日本は優等生である。そう、その当時すでに環境問題に取り組み、優秀な成績を上げているのだ。
posted by たくせん(謫仙) at 06:19| Comment(2) | TrackBack(1) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 こんばんは。
 ご無沙汰しております。
 この本はまったくノーマークでした。タイトルで、ひっかかりそうなものですが全然知りませんでした。内容は、やはり先見の明がある人はあちらにもいたということなのでしょうけれど、なんだかやりきれない話ですね。自分はたまたま今の仕事ではそれを阻止することに近い職種にいるんですが、なかなか大変です。
 本当にこの問題は急がないとまずいんですけれどねぇ。
Posted by 樽井 at 2008年06月10日 20:36
環境ばかりが問題ではないんですが、そう言って話を逸らし対策をしない理由にする人が多いですからね。
アメリカ流だと、アメリカは使いたいだけ使い余ったものを他の国で分けろ、となるのかな。アメリカ人以外は使うなとなるのか。
樽井さんの目にとまらないとは珍しい。区の図書館にも一冊しかありませんでした。
知られない本はいっぱいありますね。わたしも椎名誠さんに紹介されるまで知りませんでした。
振り返って自分の生活はどうか。……、いま台所の照明と換気扇を消してきました。
Posted by 謫仙 at 2008年06月11日 06:19
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