2016年10月15日

血糖値スパイク

血糖値スパイク

 10月8日にNHKで、血糖値スパイクという問題を取り上げていた。糖質食を摂ると、その後一時的に血糖値が上がる。
 人によっては上がりかたが高すぎる。これを血糖値スパイクという。様々な病の原因になる。その可能性のある人は日本で1400万人ともいう。

 食事を食べたすぐ後の短時間にだけ、人知れず血糖値が急上昇し、やがてまた正常値に戻る。それが、「血糖値スパイク」。食後時間がたった状態で行われる通常の健康診断では、見つからないことも多い。ところが最新調査で、なんと1400万人以上の日本人に「血糖値スパイク」が生じている可能性が明らかになってきた!


 わたしは「血糖値スパイク」のことについて知識はあった。だがその問題性についての認識が薄かった。
 主食をやめると健康になる で血糖値急上昇の説明があったのだ。その本は糖質制限食ダイエットを中心としていた。
 だが、まるで糖質食が問題のような書き方と、前後矛盾する書き方に疑問が生じていた。そのため、血糖値スパイク(その本では血糖値スパイクとはいっていなかったと思う)のことは判っても、問題を甘く見ていた。
 そのとき、いくつかの疑問点を書いた。
 7月6日の「ガッテン」でも糖質制限食をとりあげていて、一応納得した。
  参考 糖質制限食

 しかし、今回の放送で、糖質食が問題の人は一部の人だけで、大部分の人は該当しない、といっていたので、ようやく納得できたのだ。
 たとえば「3.米を主食とする日本食はヘルシーといわれているが、この定説を覆せるか。」など。多くの人にとって定説は正しい。問題は一部分の人なのだ。
「主食をやめると健康になる」のは一部分の人だ。問題はこの一部の人がなんと、1400万人もいるらしいことだ。
 わたしも他人事ではない。おそらく今までの情報でも、気をつけてみれば、一部の人と言っていたかもしれない。わたしの勝手な思い込みがあったかもしれない。
 納得できれば対策も考えられる。すっきりした。

    参考 “血糖値スパイク”危険度チェック!
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2016年10月09日

日本海 その深層で起こっていること

日本海 その深層で起こっていること
蒲生俊敬   講談社   2016.2
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 日本海の成り立ちや、小さいながら独立して生きている理由などの解説である。
 深海の生物などを考えていたが、それはなかった。
 日本海の広さは、世界の海域の広さの0.3%でしかない。
 対馬海峡・津軽海峡・宗谷海峡・間宮海峡という浅くて狭い海峡で外海とつながっている。そのため海水の出入りが少なく、干満の差がわずかである。水深は最大3800mとかなり深い。
 このような地形では、深層は死の海となる。その例が黒海だ。
 ところが日本海は、比較的塩分濃度の濃い対馬暖流が北上して、酸素をたっぷり含んだ海水が北で冷やされ、重くなって沈み込む。そのため循環が生じ下層では掻き回され、100〜200年で循環は1周する(熱塩循環)。そのため深層でも酸素を含んだ生きた海水である。大洋では、その10倍2000年もかけて循環が1周するといわれている。黒海はこの循環が生じていないため、低層は死の海になる。
 こんなことから、日本海は豊かな海になり、季節風もあって対馬海流の蒸気が雪(雨ではなく)になり、国土も豊かになった。
 日本海はずっとそうだったわけではない。8000年前は死の海だったという。
 日本列島と大陸との微妙な距離、日本海の微妙な形が成立して豊かさをもたらすようになった。そのため、気候変動の影響を受けやすい海でもある。
 そんなことをいろいろな資料を用いて説明し、日本の歴史も考察する。
 そして今、温暖化によって、北海での冷え込みが弱まり、沈み込みが少なくなっている。循環が弱まり、深層では酸素が少なくなっている。同時に雪不足になり、日本の豊かさを損ねることになる。
 これが世界の海に対する警告となっているのだ。
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2016年10月02日

村上海賊の娘

村上海賊の娘
和田 竜   新潮社   2013.10
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 武侠小説ばりの痛快小説であった。
 村上海賊と言えば、後に村上水軍と伝わる瀬戸内海の有力海賊である。その娘の景(きょう)の活躍ぶりである。引用すると、
 和睦が崩れ、信長に攻められる大坂本願寺。毛利は海路からの支援を乞われるが、成否は「海賊王」と呼ばれた村上武吉の帰趨にかかっていた。折しも、武吉の娘の景は上乗りで難波へむかう。家の存続を占って寝返りも辞さない緊張の続くなか、度肝を抜く戦いの幕が切って落とされる。第一次木津川合戦の史実に基づく一大巨篇。

 戦国の織田信長の軍勢と、大阪にあった本願寺との戦いがあった。本願寺では兵粮が決定的に不足していた。そのため毛利に兵粮を依頼する。
 毛利は村上海賊の力を借りて、船で難波海から木津川を通って運ぼうとする。それを防ごうとする、織田方泉州侍、その一部は泉州海賊である。
 この荒くれ男の大活躍が話の中心である。
 本屋大賞を受賞した。

 さて、景(きょう)は醜女として名が高く、誰も嫁に迎えようとはしない。それが泉州では美しいと絶賛される。いったいどんな女なんだろう。これが第一の謎。
 ハーフかもしれない。西洋人(マリア像など)に慣れた人と、知らない人との差とか。となると出生の問題が生じるが、そのようには見えない。
 泉州海賊の長である眞鍋七五三兵衛(しめのひょうえ)の超人的能力がすごい。ヘビー級レスラーを遙かにしのぐ身体能力。これは第二の謎。
 銛を投げると、当たった小舟は爆発して木っ端微塵。大きな穴が開いたなら判るが、爆発する理由が判からない。書いてないが、爆弾も仕掛けてあったのか。
 敵味方ともかなり損耗したはずなのに、実際の被害は五分の一程度。中心的部隊が壊滅すると残った兵は戦闘能力を失うので、五分の一でもほぼ全滅か。
 壮大な海戦の一部を大げさにした部分も、内力(超能力のようなもの)に逃げるようなことはない。泉州侍の言うことや考え方などまさかと思うが、全体的には史実に基づいているので、小説として成り立つ。かなりの長編だが休まず読んだ。
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2016年09月17日

女子読み「水滸伝」

女子読み「水滸伝」
秋山久生 著   岡崎由美 編集協力  2010年   三五館
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 この本は「たくせんの中国世界」に書いている、「岡崎由美先生と行く−水滸伝の舞台と世界遺産「曲阜・泰山」を訪ねる旅」の途中で岡崎由美先生からプレゼントされた本である。

 潘金蓮と張氏が感想を交えながら解説する趣向。張氏とは林冲夫人。
 水滸伝はほとんどの人物が紹介程度にちょっと出るだけなので、名前などあまり覚えていない人物の方が多い。この二人も潘金蓮は有名だが、張氏という名前は出てきたかしらという程度の出番。
 潘金蓮は悪女とされているが、読者は同情心が沸きやすいかな。不幸な生い立ちで、武大に嫁がされた。美人であったのが、かえって事件のもとになる。
 この二人のガールズトークだが、登場してすぐにあの世に行った二人の会話である。
 
1章 物語のあらすじ
 読者目線の会話形式であらすじを紹介している。読んだことのない人にも判りやすい。それでいながら内容は非常に濃いのだ。
2章 108人の好漢や重要人物の紹介。
 なんと全員イラストつき、持っている武器によって、得意技が判る。個性もアピールしている。その評価はかなり辛辣。
 タイプ分けに、イケメン・ワイルド・中間管理職・職人などは判る。しかし、空気とは。
 空気とはどんなタイプ? なぜか覚えられない人だと。
3章 「水滸伝」の成立過程や背景など。

 全体的にほとんどガールズトークなのに、必要な部分はきちんと説明しているので、内容は硬質だと言えよう。二人以外にも何人か登場する。
 例をあげよう。
 梁山泊の108人というがこれは将であって、数千人の兵がいる。これらの生活費はどうしたか。
呉用「梁山泊の資金源は主に略奪で得た金品です」
「そ、それじゃ強盗じゃない!」
 そう、梁山泊の好漢とはお尋ね者の集団なのだ。付近を通る金持ちから強盗をして生計を立てていることになる。強盗だけでは足りなくて近くの町を襲う山賊だ。町を守っているまじめな兵たちが大勢殺される。そこで生活している人には大変困った人たちなのだ。
 それだけで何千人が生活できるかどうか。だから宋江は天子の招安(しょうあん)を受けて帰順しようとする。それもリーダーの決断である。

   水滸女子の、
   水滸女子による、
   水滸女子のための
   水滸伝ガイドブック


 カバーに書かれたこの文字が、この本を表している。
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2016年08月24日

桜小町

ひやめし冬馬四季綴 桜小町
米村圭伍   徳間書店   2010.2

 遠江国海棠藩の下士の「冷や飯食い」一色冬馬22歳の婚活騒動。
 一色家は先代は中士であった。訳あって下士に落とされる。
 当主の弟つまり冷や飯食いでは一生まともに暮らせない。うまく他の家に婿入りできればよいが、下士の冷や飯食いではそれも難しい。
 そんな冬馬が、二番家老の娘に恋をした。美しい高嶺の花で、もし恋が実れば、家老になれるかも、というのだが、話が進むうちに、父の降格にまつわる過去の事件も絡み、大事件になっていく。
 二番家老の二番目の娘が、美しくはないが聡明で、冬馬をリードする場面もある。意外な展開が多く、楽しめた。
 米村圭伍の作品は、いつも貧しい武家の生活ぶりが詳しい。今回の一色家は百俵取りで三代5人が暮らす生活。

「ふくら雀」という続きがある。前半はだらだらして、途中で投げ出してしまった。間を置いて、あらためて後半を読むと、少し山がある。読み終えたが人に勧めるほどではない。
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2016年08月15日

トリックアート美術館

トリックアート美術館

 8月11日、山の日である。
 高尾山のビアーガーデンに行くことになった。4時に京王線高尾山口に集合予定である。
 はじめ、山に登りビアーガーデン前で待つ予定でいたが、時もときなので、満員の可能性もある。そのときは場所の変更も考えられるので、駅前に集合することにした。
 地図を見ていたら「トリックアート美術館」がある。2時過ぎに高尾山口に到着し、美術館に入ることにした。

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 氷川神社の鳥居の向こうに美術館が見えた。背中の方には駅があり、駅の向こうに氷川神社がある。

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 入り口は上の写真の中央近く、像の下あたり。右の方の二階はオープンカフェテラス。
 左の方へまわったため、シャッターもしまっており、休業中かと思わせる。

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 右の方へ行くと、最初のトリックアート。今ではどこまで本物だったか、覚えていない。この日は曇り空だったことを覚えている。この少し右に入り口がある。そこから階段を上がる。
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 階段を上がると、正面に絵を描いている人…、

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 入り口に到着、両脇の照明には影がない。右は自動販売機。テラスの方になる。
 以下、説明は省きます。どこが本物でどこがトリックか、あなたの眼力をためしてください(^_^)。 (わたし自身が判らなくなっている)

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 最後にテラスで、熱いコーヒーを飲んで集合場所に向かった。
 正味一時間。時間があればもう一回りしたかった。
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2016年08月12日

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?
東川篤哉   文藝春秋   2012.9
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 あえて言えば題名に偽りあり。
 八王子署の若手刑事小山田聡介は、上司の椿木綾乃警部とともに、殺人事件の捜査に当たる。
 犯人は…、読者は判っている。倒叙推理形式だから。犯人と小山田聡介の知能ゲームとなるのだが、小山田聡介は見かけは冴えなくて、犯人に名前も覚えてもらえないほど。実は鋭いところもあるのだ。
 捜査の難しさは犯人を絞り込むまでで、本来は相当の苦労をするはず。
 ところが、殺人現場にはいつも美少女家政婦マリィが現れる。これが魔法使い。魔法使いが魔法で犯人を教えてくれるのだが、そのままでは逮捕できない。裁判官を納得させる証拠がないからだ。
 そこから犯人と小山田聡介の「刑事コロンボ」を思い出す知能ゲームとなる。
 犯人が自ら証拠を提出してしまうのも「刑事コロンボ」に似ている。
 決して、魔法使いが魔法で証拠を探すなんてことは無い。そこでは魔法はあまり役に立たない。しかし、魔法で容疑者の絞り込みをすることが出来るので、そこまでの地道な捜査が省けるのだ。
 四編の連作中編集。決して魔法使いが完全犯罪をしようなどと考えているわけではない。犯人逮捕の協力をしているのだ。
 東川篤哉が書くとコメディになってしまう。それも楽しめる。

 続きがある。
 魔法使いと刑事たちの夏  2014.7
 縁あって、魔法使いマリィは小山田家の家政婦になる。
 なお、小山田聡介と椿木綾乃警部の怪しい関係が、ちょっと現実離れしている(^_^)。椿木警部は捜査の邪魔ばかりしている。それが、犯人を油断させていることになる。
 特に付け加えることはない。
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2016年08月02日

獣の奏者

獣の奏者(そうじゃ)
上橋菜穂子   講談社

「リョザ神王国」と呼ばれる異世界の地を舞台とするファンタジー。運命に翻弄されるエリンを軸に人と獣の関わりを描く。
闘蛇編・王獣編(2006年)の二巻で一応終わったものの、続編を望む人が多く、探求編・完結編(2009年)が書かれた。さらに「獣の奏者 外伝 刹那」(2010年)が刊行されている。
「決して人に馴れぬ孤高の獣と、それに向かって竪琴を奏でる少女」のイメージで書いたという。
 闘蛇(とうだ)という、鰐をイメージするような生物を武器とする大公がいる。この闘蛇の群れがある晩一緒に死んでしまう。エリンの母は獣ノ医術師であったので罪に問われ死罪となる。こどものエリンは母を助けようとして失敗し逃れる。
 エリンは蜂飼いのジョウンに助けられ、野生の王獣と出会い、獣ノ医術師になろうとする。
 王獣は空を飛ぶ獣であり、闘蛇の群れを一瞬で蹴散らすほどの力がある。
 真王の臣は、それまで家畜化した王獣を、恐怖によって支配していたが、エリンは王獣と意思の疎通を試みる。その手段が竪琴であった。簡単な会話が出来るほどになり、独自に王獣を操る術・「操者ノ技」を身につける。

 その間何年もかかるのだが、象徴的なシーンがある。教導師となったエリンは脅迫されて、「操者ノ技」を公開せざるを得なくなるのだが、他の教導師ではうまくいかない。なぜなら、その教導師が過去に恐怖で王獣を支配していたことを王獣が覚えていて、心を開かないからであった。

 政治的な事件や駆け引き、外交や内政の問題が続いて起こり、エリンは常に身の危険にさらされている。
 結局、エリンは過去の言い伝えをすこしづつ破ることになるのだが、言い伝えは重要な意味があり、それを破ることで大きな間違いを犯すことになる。

 こうして人の世は進歩していくのであろう。
 この緊張感あふれる生涯は、現代世界の幸不幸の外にある。物語世界がしっかり出来ていて、そのような世界ならそうなるだろうという共感を持てるからだ。
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2016年07月28日

沈みゆく大国アメリカ <逃げ切れ! 日本の医療>

沈みゆく大国アメリカ <逃げ切れ! 日本の医療>
堤 未果   集英社   2015.5
    2016.7.29.jpg 

 先日、紹介した「沈みゆく大国アメリカ」の続編である。
 全体的に著者の感情的な記述が目立ち、それだけ信憑性が薄くなる。特に日本の情報について、わたしでも知っていることが多く、たしかにそこは問題なのだが、もっとプラスマイナス両面から考えて、と思ってしまう。そのため矛盾を感じる箇所もある。
 ここで取り上げたのは、それでも読む価値がありますよ、と言いたいからだ。
 ジャーナリストというのは、正しく問題を提起できれば良い。その解決策は行政の考えることである。もちろん解決策が示せればなお良い。問題提起は出来ていると思う。

「沈みゆく大国アメリカ」でいった、オバマケアの欠陥の再確認的記述が多い。
 読んでいて恐ろしいほどだが、良い部分は全くないのか、疑問に思う。
 オバマケアが成立したのは、アメリカ国民が馬鹿だから(MIT教授)という記述もある。
 採決直前に出された、法案3000ページと関連規制で20000ページ、積み上げると人の背丈を超える書類の山。とても議員が読み切れるものではない。
 それはそうだが、それならなぜ採決を止めなかったのだろう。
 薬価の高騰にねを上げたアメリカ庶民や地方自治体が、同じ薬をカナダから五分の一以下で購入するという話もある。これなど、日本も研究する価値がありそうだ。

 対する日本の医療はどうか。
「国民皆保険」は保険ではない。国家による「社会保障」である。これを民間保険会社にやらせたのがアメリカだ。名前は似てもものが違う。
 国民皆保険についての無知は弱さになる。社会保障を失う基になる。
 政府支出に占める日本の医療費は国際的にみて決して高くないという。
 日本の医師の数は決して多くない。緊急病院の医師数、働く環境を見よ。これはこの本以外でも言われる。
 それから、佐久総合病院や亀田病院など、また足立区の学校給食の成功例をあげている。アメリカでも同じような動きがある。なかなかいい例だが、全国的に展開できるのか、普遍性に疑問がある。この参考例を基に行政は疑問を克服してもらいたい。

 前に、「日本の国民皆保険制度はいろいろな欠点はあるが、なんとか守らなければならないと思う。」と書いたが、つまり日本の制度にもいろいろ問題があり、常にこの改善も行わないと崩壊するだろう。
 キューバは医療の先進国で、経済は低迷していても外交に利用できるほど、というのはおもしろい。
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2016年07月26日

沈みゆく大国アメリカ

沈みゆく大国アメリカ

堤 未果 集英社   2014.11

 ここに書かれた話は本当であろうか。すさまじい医療の崩壊である。同時にマネーゲームの規模も。
 P23からP24に、2014年のアメリカの五大銀行が、四半期で279兆ドル(2京7900兆円)の利益を得る状態になっているという話がある。年間にすれば4倍、約1100兆ドルである。アメリカの総生産でさえ、2014年は17兆ドルだ。日本円の表示もあるので、円の間違いではない。

2015年
アメリカの総生産   18兆ドル
日本の総生産      4兆ドル
世界の総生産合計   73兆ドル
 この中から、1100兆ドルもの利益をどうやって引き出すのだろう。
 (続編で訂正があると思ったが、なかった)

 オバマケアといわれる、医療保険制度ができた。
 国民皆保険なのでいいことのようだが、なんとこの保険は民間の営利団体、つまり保険会社が行う。当然保険会社が儲かるように設定されている。たとえ制度では縛れても、薬価は自由なので、制度の心を無効に出来る。たとえばC型肝炎の新薬1個が10万円で12週840万円、これは保険のきかない薬だ。これは例外では無い。それでは医療費の高騰を避けることは出来ない。
 日本なら自己負担2割とか3割だが、アメリカのある保険は50万円まで免責で、それを越えた分が保険の対象で、となれば、保険の恩恵はまず無いといえよう。
 しかも、医師の66パーセントが割りの悪いオバマケアに参加していない。多くの人が保険料を払っても医療を受けられないということになる。
 それでいながら、医師も出費が多く、結果、低収入で自殺者の割合が多いという。
 労働者の三分の一が時給1000円以下。医療費が支払えず自己破産する人が年間150万人。
 前は軍産複合体と言われていたが、今では医療複合体となっている。
 これがいま、日本を狙っている。
 日本の国民皆保険制度はいろいろな欠点はあるが、なんとか守らなければならないと思う。
 この本の中心はオバマケアの欠点である。復活したウォール街の話題も少し。

続編「沈みゆく大国アメリカ <逃げ切れ! 日本の医療>」につづく。
posted by たくせん(謫仙) at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする